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シャチ12頭、流氷で動けず 羅臼の海岸

流氷に閉じこめられ、苦しむシャチの群れ(7日、羅臼町相泊で、石田理一郎さん撮影)
 北海道・知床半島の根室海峡に流れ込んだ流氷群に、シャチの家族12頭が逃げ遅れ、7日朝から羅臼町相泊の海岸に閉じこめられた。町などによると、群れは午前中、氷海の中でクークーと互いに鳴き声をあげて脱出を試みていた。しかし、午後にはぐったりとなり、時折上げる声も弱まっている。

 連絡を受けた町や羅臼海上保安署などの職員は、尾びれにロープをかけて引き揚げようとしたが、救出作業は難航し、日没とともにうち切った。

 シャチは体長7―10メートルで、海の食物連鎖の頂点に立つクジラ・イルカの仲間。かつては、道内各地の海に生息していたが、戦後の乱獲で、ほとんど全滅したとされていた。しかし近年、知床近海で春から夏にかけ、十頭を超える群れがたびたび見られるようになった。捕鯨が制限される中で、わずかに生き残った個体が数を増やしたらしい。


羅臼のシャチ遭難 氷で傷…悲痛な叫び ロープでの救出及ばず

 ◆肩落とす関係者

 クークーと鳴きながら苦しむシャチの親子、なすすべもなく見守る漁業者ら……。北海道・知床の流氷の海は、ここに生きる動物たちにとっても過酷であることを、まざまざと見せつけた。

相泊港付近の海岸で流氷に閉じこめられたシャチ(7日午前11時、羅臼海上保安署提供)
 シャチが閉じこめられた現場は、羅臼町からの道路が終わる相泊漁港の約100メートル手前の海岸。7日、オホーツク海を埋めた流氷が知床岬を回り、根室海峡に急速に流れ込んだ。

 現場に駆けつけた近くの民宿管理人・石田理一郎さん(34)が見ると、群れは消波ブロックと流氷との間に挟まれ、身動きがとれない状態だった。

 流氷はまだ薄く、所々にすき間も見える。しかし、シャチたちは波のうねりに合わせて押し寄せる氷にもまれて傷つき、キューキュー、クークーと苦もんの声を上げ続けた。

 出血で、流氷はところどころで赤や黄色に染まり、知床財団(斜里町)の職員も、せい惨な状況にため息を漏らした。せめて子どもだけでも救おうと、尾びれにロープをかけて引き揚げようとしたが、足場が悪くびくともしない。そのうち、小さいものから順に海中に沈み、数頭が姿を見せなくなった。

 財団の浅野悠美さん(28)は「こんな状況は初めて見た。何とか助けたかったがうまく行かず、とても切ない」と肩を落とした。

 羅臼海上保安署の佐藤辰也さん(38)は「これだけ流氷に覆われては、船も出せない。かわいそうだが見守るしかない」と沈痛な表情。

 知床国立公園羅臼ビジターセンターによると、流氷の時期にシャチが現れることは珍しく、今回のような事態も初めて。知床は、7月に世界自然遺産への登録が有力視されているが、関係者の中からは生態系の異変を危惧(きぐ)する声も出ている。

 シャチは、世界中の海洋に生息しているが、国際自然保護連合(IUCN)の準絶滅危惧種、水産庁の希少種に登録されている。

 オホーツク海など極東海域での生息状況は不明な点が多く、近年になって調査が始まったばかり。市民団体「知床シャチ連絡会」の佐藤晴子事務局長は「この状況では救出は非常に難しく、残念です」と話している。

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