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IUCN評価書研究員知床視察
         ダムが産卵環境破壊 河川保護へ「モデル地区指定を」

斜里町岩尾別川支流のダムの魚道を調べるカウエット研究員
斜里町岩尾別川支流のダムの魚道を調べるカウエット研究員

 北海道・知床の世界自然遺産を審査した「国際自然保護連合(IUCN)」の評価書で、ダム問題を担当したブライアン・カウエット研究員(28)が14日、知床の河川やダムを視察。「知床が日本の河川環境の保全の手本となってほしい」と訴えた。

 IUCNの評価書は、20人の各分野の専門家や団体からのリポートを基に作成した。カウエット氏は、民間研究機関「ワイルド・サーモン・センター」(米国・ポートランド)に勤務。日本留学の経験があり、日本の河川事情にも詳しい。

 この日、カウエット氏は斜里町の岩尾別川支流で、治山ダムに設置されている魚道を丹念に視察。「残念ながら、全く魚道としての役割を果たしていない。その上、ダムの影響で大きな土砂のみが下流に供給され、ダムが産卵環境そのものも破壊している」と厳しく指摘した。

 カウエット氏は評価書で、サケ科の種類やダムとの関係を明らかにし、ダムへの魚道の設置やダム撤去など「サケ科管理計画」の策定を求めた。

 この点については「評価書は基のリポートを省略しているので、わかりにくい点がある」とした上で、「どの河川にどんな種が遡上(そじょう)し、産卵するのか。ダムと河川、魚類がどんな関係にあるのか。現状について、不明な点が多すぎるのが、致命的な問題」として、徹底した調査を継続的に行うよう求めたという。

 さらに「日本の魚道の多くが機能していない実態がある」と指摘。その上で、一つの河川をモデル地区に指定し、魚道の設置や場合によってはダムをすべて撤去して、魚類や河川環境を追跡調査する「パイロット・プロジェクト」を提案した。

 カウエット氏は「いきなり、すべてのダムに魚道をつけたり、撤去することはできない。モデルケースで実証してほしい」と要望した。

 【ワイルド・サーモン・センター】 環太平洋の野生のサケ・マス保全を目的に、1992年に設立。カムチャツカやシホテアリンなどロシアの世界自然遺産地域で、サケ・マスの保護区共同プロジェクトを進めている。

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