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ガイド随行開始…知床五湖 クマ生息域実感

入域者数の制限が始まった知床五湖の地上歩道(10日午後1時15分、斜里町で)

 植生の保護やヒグマによる事故回避のために、遊歩道の利用を有料化した「利用調整地区制度」が、10日スタートした世界自然遺産地区・知床五湖。国内では奈良県の大台ヶ原に次いで2例目、道内では初となる取り組みの初日、登録引率者(ガイド)が随行する新ルールの散策に同行した。  ─中村僚─

 この日は、あいにくの天候で午前中は雪が降り、五湖は霧に包まれていた。まずは、出発地点のフィールドハウスで、約15分間のビデオを見て注意事項を学んだ。一緒に散策したのは8人。ハウスの外でも、ガイドの寺田紋子(あやこ)さん(40)から、ヒグマと遭遇しない方法や出会った時の対処方法など再度レクチャーを受けて、地上歩道(約2・5キロ)に足を踏み入れた。

 五湖を覆う森の中では、今が盛りとミズバショウが咲き誇っていた。寺田さんは時々、「ホイ、ホイ」と大きな声もあげる。ヒグマを遠ざけるためだという。

 散策を続けていると大木に、縦に3本の生々しい傷を見つけた。寺田さんに聞くと、ヒグマの爪痕だという。約2時間15分の散策コースで、同じようなヒグマの爪痕をほかの2か所でも目撃した。改めてヒグマの生息域に足を踏み入れているのだと実感した。

 霧が包む森も、少しずつ青みを帯びていた。寺田さんは、ミズバショウや、クマゲラの巣、倒木から出る新芽など丁寧に説明してくれた。1グループ10人までとする理由も、道を外れることなく説明を聞くのにちょうど良い人数だと思った。

 初日は、有料の観光客14人、視察の地元住民35人が無料で散策した。地元のホテル従業員小野翔一さん(22)は「以前はすごい人の数で、木道を通ることもままならなかった。どれがクマのつけた跡かもよく分かった」、山田めぐみさん(22)も「自然は説明を受けて初めて分かることが多い」と話していた。

 〜知床斜里町観光協会の青木憲一・専務理事〜
「観光客が減る不安はあるが、例年ならヒグマの出没が危険で、ほとんど歩けなかった時期に、地上歩道が使えるのはプラス。新しい取り組みをしっかり伝えていきたい」

 〜環境省釧路自然環境事務所の則久雅司次長〜
「安全性の確保と質の高い自然体験というサービスを両立させるために必要な枠組み。今後も発展させていきたい」

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