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旬感覚


ミルクラム(08/05/29)




 「日本一」が育てた甘み

 羊肉愛好家にとって、待ち遠しい「ミルクラム」の季節がやってきた。離乳前の「乳飲み」羊のことで、各生産者とも出荷できる頭数はごくわずか。春の限られた時期にしか食べられない、希少な旬味だ。

 そのミルクラム料理に定評があるのが、札幌宮の森のフランス料理店「ラ・サンテ」。オーナーシェフの高橋毅さん(44)は1994年の開店以来、北海道の食材や生産者と向き合い、素材が力強く響く味わい深い料理を紡いできた。道産羊肉は同店の魅力を伝える看板料理のひとつ。ミルクラムは入荷数僅少(きんしょう)のため、早めの問い合わせ、予約をお勧めしたい。

 道産羊の生産者、飼育頭数は年々増えているが、その多くは東京方面に出荷され、北海道で道産羊を味わえる機会はまだ少ない。高橋さんは地道に牧場を訪ね歩き、これぞと思う生産者との絆(きずな)を深めてきた。羊肉を扱う度に感想を伝え、それを参考に生産者が飼育方法を研究する。道産のラムはもちろん、希少なミルクラムの入荷があるのも、その信頼関係があってこそだ。

繊細な肉質を生かすため、火加減に細心の注意を払う高橋シェフ
繊細な肉質を生かすため、火加減に細心の注意を払う高橋シェフ

 ここ数年のミルクラムは、高橋さんが「日本一の羊飼い」と称賛する、足寄町の石田めん羊牧場産を使う。多くの牧場が早熟早肥なサフォーク種を生産する中、場主の石田直久さんは飼育に手間がかかるが、サウスダウン種にこだわる。羊肉の王様といわれるこの品種に他品種を掛け合わせ、理想の羊づくりを目指す、高橋さんいわく「情熱と信念の羊飼い」である。

 大切に育てられたミルクラムが届くと、高橋さんは脂のつき具合、色、香りなどを確かめながら、ほんの少量を焼いて試食。舌にその味を記憶させ、調理のイマジネーションを広げていくという。あとはオーダーごとに肉を切って、やさしくシンプルに焼くだけ。

 テーブルに運ばれた「ミルクラムの背肉、フィレ肉、モモ肉のロースト」は、とても淡くきれいな色。肉質はやわらかで、独特のラムの香りはなく、ミルクの甘さをほんのり感じる。

 ソースには、さばいた骨や筋を煮出したミルクラムのエッセンスを用意し、そこにロースト時の焼き汁を加える。主役で使う以外の部位をも生かしたこの料理には、「命を無駄なくきっちり調理し、お客様に喜んでもらいたい」という、シェフの思いが反映されている。

 小さな命に感謝しながらおいしく完食。春の名残と初夏の訪れを感じさせるミルクラムの味わい。羊肉にも季節感があるのだ。

(フリーライター 小西 由稀)

店名
ラ・サンテ
住所
札幌市中央区宮の森1の6の5の1 M1.6ビル2階
電話
011・612・9003
営業時間
午後6時〜11時(ラストオーダー、日曜祝日は午後10時まで)、ランチは土、日、祝日正午〜午後1時30分(ラストオーダー)
定休日
水曜と第2木曜



【主なメニュー】
 足寄・石田めん羊牧場のミルクラムを含むコース料理7875円(要予約、数量限定でなくなり次第終了)、コース料理4600円〜

この時期にしか出会えない、日本一の羊飼いが育てたミルクラム料理
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